高時川

高時川
長浜市余呉町下丹生での高時川
水系 1級水系 淀川水系
種別 1級河川
延長 48.4[1] km
流域面積 212[1] km²
水源 栃ノ木峠
水源の標高 538 m
河口・合流先 姉川
流域 滋賀県
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高時川(たかときがわ、別名:妹川(いもうとがわ))は、滋賀県長浜市を流れる淀川水系河川姉川支流である。上流部では丹生川と呼ばれており、また一部の流域の住民は姉川に対して、高時川を妹川とも呼ぶ。

地理

高時川(左)と姉川(右)の合流
旧高時村付近からのぞむ高時川

福井県との県境に位置する栃ノ木峠を河川の起点し、南下して姉川合流する[1]

源流は淀川水系の最北端部に位置し、栃ノ木峠近くには「淀川の源」の石碑が建てられている[2]。最上流の余呉町中河内では谷が開けた区間であるが、蛇行を激しく繰り返しV字渓谷をなす区間もある[1]。下流域では河床上昇に伴い堤防のかさ上げを繰り返したため天井川をなしている[1]

高時川の流域は北陸・飛騨方面からの多雪域の南西端にあたり、滋賀県内では最も降雪量・積雪量が多い地域にあたる[1]。特に福井県境に近い旧余呉町の山間地域では顕著で、柳ヶ瀬地域気象観測所では年間降水量が約3000 mmに上る[1]

水質が良好であり、アユやハス、ウグイをはじめ、ビワマスアマゴ、上流部のイワナ等、数種のマス類も生息する。上流の丹生川や支流の杉野川には、幾つかの鮎の管理釣場があり、シーズン中は鮎釣り師で賑わう。なお、梅雨明け以降の夏季から晩秋に掛けては、完全に渇水することが多い。

歴史

中流域にある湖北平野が古くから開発されたため、高時川から取水する用水井も早期に発達したとされる。中世以降は土豪の井口氏が用水井堰を掌握したが、戦国時代に入ると井口氏は浅井氏の被官となり、争いの採決などは浅井氏が行なった。浅井氏の滅亡後は羽柴秀吉が管理し、家臣の早川長政が普請を行なうなどした結果、太閤堤と呼ばれる堤防が現在まで高月地区に残っている。

1965年(昭和40年)から始まった湖北農業水利事業によって高時川幹川用水路が完成し、左岸の山手一帯に用水が確保された。1969年(昭和44年)には建設省(現国土交通省)の事業によって高時川頭首工が完成し、長年に渡って続いた灌漑問題が解決した。

1980年代以降、丹生ダムの建設計画があったが、2016年(平成28年)7月までにに中止が決定した[3]

2022年の豪雨

2022年(令和4年)8月5日、 令和4年8月豪雨により下流域で氾濫が発生。旧余呉町全域の1196世帯(2808人)などに避難指示が出された[4]国道365号滋賀県道332号木之本高月線が一時通行止めになるなど影響が出た[5][6]。この氾濫により堤防の途切れた部分から水が逆流することであえて水をあふれさせる霞堤が治水上で役立ったことが話題となったが、氾濫した土地に対して公的な支援が無いことに疑問の声が上がっている[7]。豪雨によって濁水のため川の底が見えない状況が例年と比べ長期化しており、高時川漁協はアユ漁の営業を中止せざるを得ず、高時川・丹生川両漁協は滋賀県に対して原因調査の要望書を提出した[8]。これを受けて滋賀県は本格的に調査に乗り出すこととなった[9]。調査の結果、2022年8月の豪雨に起きた大規模な浸食によって堆積した川底の泥が大雨の度に巻き上げられること、川岸やスキー場跡の土砂がむき出しのところが新たに浸食され川に流れ込むことが原因とした[10]。対策として継続的なモニタリングのほか、スキー場跡地を緑化する、支流に堰堤を整備するなどを行う方針である[10]

流域の自治体

  • 滋賀県
    • 長浜市

主な支流

  • 杉野川

参考文献

  • 日本歴史地名大系(オンライン版) 小学館 (『日本歴史地名大系』 平凡社、1979年-2002年 を基にしたデータベース)
  • 高時川濁水対策連絡調整会議. “高時川における長期濁水の原因調査及び対策に関する報告書” (PDF). 滋賀県琵琶湖環境部森林保全課森林管理係. 2024年6月26日閲覧。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g 高時川濁水対策連絡調整会議 2024, p. 4.
  2. ^ “高時川のようす 淀川源流をたずねて”. 長浜市郷土学習資料 わたしたちの長浜. 長浜市教育センター. 2022年11月10日閲覧。
  3. ^ “丹生ダム中止、正式決定 国交省: 日本経済新聞”. 日本経済新聞. (2016年7月22日). https://www.nikkei.com/article/DGXLZO05114710R20C16A7LDA000/ 2020年4月24日閲覧。 
  4. ^ “滋賀・長浜で高時川が氾濫、周辺世帯に避難指示…福井・南越前町では観測史上最大の降水量”. 読売新聞 (2022年8月5日). 2022年8月5日閲覧。
  5. ^ “滋賀 県道332号木之本高月線一部通行止め 高時川の氾濫で”. NHK NEWS WEB. (2022年8月5日). https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220805/2000064636.html 2022年11月10日閲覧。 
  6. ^ “滋賀・長浜の国道365号通行止め解除 5日の豪雨で土砂崩落”. 京都新聞. (2022年8月12日). https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/856437 2022年11月10日閲覧。 
  7. ^ 滋賀・長浜豪雨で注目された「霞堤」 なぜ、農地の被害に公的支援ないのか? - ウェイバックマシン(2022年10月23日アーカイブ分)
  8. ^ 平岡和幸 (2022年9月16日). “氾濫の高時川、1カ月後も濁水 アユ漁休業で漁協が原因究明を要望”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASQ9H7J7TQ9GPTJB00S.html 2022年11月10日閲覧。 
  9. ^ “滋賀・高時川で長引く濁り 滋賀県が本格調査へ、水質や森林荒廃の状況は?”. 京都新聞. (2022年11月4日). https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/910187 2022年11月10日閲覧。 
  10. ^ a b 「滋賀県長浜市の高時川濁水で対策案 スキー場跡や川岸の土砂流入防止」『京都新聞』2024年1月18日。2024年6月26日閲覧。

外部リンク

  • 高時川の概要
  • 高時川頭首工の概要
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